研究活動Activity
「社会に要請に応える新しい科学技術」に関する研究を推進するために機動性のある研究体制を構築しています。
工学研究科応用化学専攻2025年博士課程後期課程修了生(現:プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社)の徐竟超 氏、牧秀志 准教授、南本大穂 講師及び水畑穣 教授の研究グループが発表した論文 “Effect of Coexisting TiO2 Powder on Ionic Conduction of Highly Concentrated LiTFSA Aqueous Electrolyte (20.5 mol kg-1)” が、電気化学会論文賞を受賞しました。
受賞日
2026年3月18日
業績名
Effect of Coexisting TiO2 Powder on Ionic Conduction of Highly Concentrated LiTFSA Aqueous Electrolyte (20.5 mol kg-1)
DOI
https://doi.org/10.5796/electrochemistry.24-00115
本論文は、次世代電池に用いられる水系高濃度電解液の特性に着目し、固体材料との共存環境におけるイオン伝導の挙動に関する研究成果をまとめたものである。
電解液は電池内部で電気を運ぶ役割を担うが、実際のデバイスでは電極や粉体材料と接触した状態で機能する。このような固液界面における挙動の理解は、電池性能の本質的理解に不可欠である。本研究では酸化チタン粉体と高濃度電解液の複合系を対象とし、電気伝導度測定および分光解析を通じて内部構造の変化を解析した。その結果、固体の存在により水分子のナノスケール構造が変化し、イオンの移動経路が阻害されることで伝導性が大きく低下することを明らかにした。これは従来、電解液単体の性質からは予測が困難であった現象であり、固体界面の影響が極めて重要であることを示す結果である。以上の成果は、電池材料設計において界面構造の制御が不可欠であることを示すものであり、安全かつ高性能なエネルギー貯蔵技術の実現に向けた重要な基盤知見を提供するものである。
本論文は2025年1月に出版されたものであるが、上記の研究成果は直ちに評価され、Editor’s ChoiceとしてCover Artに掲載された後、今回の受賞に至った。その後の評価において学術的独創性と基礎的意義の高さが認められたものである。
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