工学部GCP オーストラリア海外派遣プログラム(2025年度-体験記③)

RMIT 応用化学ラボ見学

工学部 応用化学科 3年
鴛谷 啓至郎 さん

RMITの応用化学研究室では、新しい燃料開発の研究がされていて、水素ガス燃料の代替として用いるためのアンモニア研究や、バイオマスからバイオガス、シンガス生成までの反応プロセス、原料ガスからの環境汚染要因の金属元素の除去などの話を聞いた。まず、この研究室の研究では、空気中の二酸化炭素とバイオマス(生物由来の有機性資源)を原料とし、バイオマスをバイオガス(CH₄+CO₂)に変換する。バイオガスは不純物を含むため、水銀などを酸化反応で除去してから、シンガス(COとH₂)に変換する。その際、ニッケルとコバルトとその他金属元素の合金の触媒を用いる。最後に生成物として得られた水素ガスを、運びやすいかたちにするため触媒下でアンモニアに変換し、燃料として使う際水素に戻して用いる。また、シンガスはメタノールに変換され、それを燃料として使うこともできる。

これら工程の化学反応をまとめると、

  • バイオマスからバイオガス:有機物→有機酸(加水分解)→酢酸→メタン(脱炭酸反応)
  • バイオガスからシンガス:CH₄+H₂O→CO+3H₂
  • 環境要因の除去:水銀などの微量有害元素を除去するプロセス
  • アンモニアに変換:N₂+3H₂→2NH₃
  • CO+2H₂→CH₃OH

研究員との意見交換では、水素燃料は体積エネルギー密度の低さなど輸送・貯蔵上の課題があることや、既存の化石燃料インフラの優位性についても議論された。エネルギー転換には様々な課題があり、多角的な視点から画期的な研究が進められていることを学んだ。

工学部GCP 参加報告

工学部 情報知能工学科 3年
竹村 望菜 さん

今回のプログラムは、単にオーストラリアに行くだけでなく、そこまでの期間も含めて本当に貴重な経験ができるものでした。渡航前のサマープログラムでは、初めて留学生との交流を経験しました。日本にいながら、留学生と知り合うことができ、プレゼンの準備などを通して交流が続いたことは、私にとって大きな一歩になりました。これまで留学として海外に行った経験がなく、渡航前は不安を感じていましたが、現地に到着してからは不安も解消され、充実した日々を過ごすことができました。

平日のプログラムでは、現地の企業やRMIT大学のラボを見学させていただきました。私の専攻とは異なる分野に触れる中で、同じ工学部でも学科によって専門領域が大きく変わることを改めて実感した一方で、自分の専門とのつながりを感じる場面もありました。普段の学生生活では得られない視点に触れることができ、非常に有意義な経験になりました。

プログラム期間中に特に苦労したことは、専門外の内容を英語で理解しなければならなかったことです。説明の難易度が高く、内容を把握するのに苦戦しましたが、一緒に参加した友人たちの助けを借りながら、最後まで取り組むことができました。このように、一緒にプログラムに参加した友人たちとも交流を深めたことで、学科を超えた大切な仲間を得られたことも、このプログラムの大きな収穫だったと感じています。

また、プログラム外でもオーストラリアならではの文化に触れることができました。トラムやカフェ文化など、メルボルンならではの街並みや生活様式を直接体験でき、非常に刺激を受けました。特に心に残っていることは、日本で出会った留学生たちと現地で再会できたことです。彼らは私たちを温かく歓迎してくれ、放課後のカフェや休日のフィリップ島へのドライブなど、多くの時間を共に過ごしてくれました。RMITの学生との交流は私にとって忘れられないほど充実した時間となりました。

このプログラムを通して、私の視野は大きく広がりました。今後は専攻の勉強はもちろん、何事に対しても自ら積極的に取り組んでいきたいと考えています。この機会がなければ知り合うことのなかった他学科の友人たちとの縁もこれからも大切にしていきたいです。 最後になりますが、引率していただいた先生方、見学を受け入れてくださった企業や大学の皆様、そして資金面で援助してくださった方々など、このプログラムに関わってくださった全ての方々に、この場を借りて深く感謝申し上げます。

チュートリアル・ワークショップ

工学部 情報知能工学科 3年
⼩林 征太郎 さん

現地のRMIT ⼤学にて実施されている、協働活動「チュートリアル・ワークショップ」に参加した。本ワークショップは、座席ごとのグループに分かれ、指定された条件のもとでWalking Wheel(紙のタイヤ)を制作・改良し、その移動距離を競うという実践的なアクティビティであった。各グループには異なる⼤きさの紙が割り当てられ、折り⽅や構造を⼯夫して、息を吹きかけた際に最も遠くまで転がる形状を⽬指した。なお私たちのグループには⻑⽅形の⽐較的⼩さな紙が割り当てられ、チームメンバーと試⾏錯誤して作成したが、結果として他グループに敗北してしまった。

今回の活動における最⼤の学びは、現地のRMIT 学⽣と英語で意思疎通を図りながら、⼀つの成果物を作り上げたプロセスにある。制作物の試作を繰り返す中でどうすれば回転を安定させられるか、どのように切り取れば良いか、といった具体的な課題を共有することで、⾔葉の壁を越えたコミュニケーションが可能になった。

今回のワークショップを通じて得た、失敗を恐れずに意⾒をぶつけ合う姿勢や、限られた条件下で最善を尽くすための協働スキルは、今後の留学⽣活においても重要なスキルになるだろう。この経験を糧に、今後の講義やグループワークにおいても、⾃分の役割を⾃覚し、より積極的に議論に貢献できるよう努めていきたいと考えている。

デジタル製造施設(DMF)について

工学部 情報知能工学科 3年
西松 優大 さん

RMIT大学のデジタル製造施設(DMF)は、3Dプリンターやセンサー付き生産ラインなど様々な機械を備えた、教育・研究・産業連携のための施設である。主な対象分野は、航空宇宙、医療、防錆、製造業であり、学生の実習から博士課程、企業との共同研究まで幅広く利用されている。

 見学では、金属や樹脂を用いた3Dプリンターの説明を受けた。3Dプリントは、複雑な形状の部品や、従来の方法では作ることが難しいものを作るのに適している。一方で、何でも安く早く作れる技術ではなく、目的に応じて使い分けることが重要だと分かった。実際に、医療用の模型やインプラント、航空機や宇宙関連の部品など、特殊な用途に使われる造形物を見ることができた。

また、3Dプリントで作った部品は、そのまま完成品になるわけではなく、必要に応じて加工や検査が行われる。施設内にはCNC加工機や材料を試験するための設備もあり、作ったものの強度や精度を確認する工程が重要であることが分かった。特に金属3Dプリントでは、熱による変形や材料の性質を考える必要があり、機械だけでなく技術者の経験や知識も大切だと感じた。

今回の見学を通して、デジタル製造が研究や産業の現場でどのように活用されているのかを具体的に理解することができた。DMFは、将来のものづくりに必要な技術を実践的に学ぶための重要な施設である。

2025年度-オーストラリア体験記①(建築学科・市民工学科)は≫

2025年度-オーストラリア体験記②(電気電子工学科・機械工学科)は≫