研究活動Activity
「社会に要請に応える新しい科学技術」に関する研究を推進するために機動性のある研究体制を構築しています。
応用化学専攻の大村教授らの論文「Computational investigation of fluid flow and heat transfer of conical Taylor–Couette flow with radial-temperature difference」が,『The Canadian Journal of Chemical Engineering』の表紙に採用されました。
本論文では,回転する二重円錐間に発生する Taylor–Couette 流と呼ばれる流れについて,その流動および伝熱特性を数値解析により詳細に調べました。浮力の影響によって複雑化する流れ構造に着目した結果,通常の回転円筒系と比較して,円錐系ではより複雑な流れ構造が形成されることを明らかにしました。
さらに,速度変動データに対してウェーブレット解析を適用し,流れの周波数特性を調べるとともに,変動の複雑さを情報理論的に評価しました。その結果,円錐形状では単純な周期変動やランダム変動ではなく,大小さまざまな時間スケールの揺らぎが重なり合ったフラクタル的(自己相似的)な構造をもつことが明らかになりました。これは,円錐形状に特有の流れが,渦構造だけでなく,流れの揺らぎそのものの階層性にも影響を及ぼす可能性を示しています。
このような複雑な速度変動は,流体内部の混合や熱輸送の促進と深く関係していると考えられます。実際に,熱輸送性能を消費エネルギーとの関係から評価したところ,円錐系では円筒系に比べて,より低いエネルギー投入で同程度の熱輸送を実現できる条件が存在することがわかりました。これにより,円錐系 Taylor–Couette 流を利用した流れの制御が,省エネルギーな伝熱促進技術として有望であることを示しました。
本研究は,大阪公立大学院工学研究科機械系専攻の増田准教授らとの共同研究です。筆頭著者および責任著者である増田勇人氏は,移動現象工学研究室出身の卒業生です。また,本研究は科学研究費補助金(21K14450,21KK0261,24H00396,25K08368)の支援を受けて実施されました。
*The Canadian Journal of Chemical Engineering*, Volume 104, Issue 6, Pages 3340–3352 (2026)
DOI: 10.1002/cjce.70200
Cover Article DOI: 10.1002/cjce.70437